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Silverbullet

Author:Silverbullet
ルエリ鯖主に7ch/モハフは3鯖
名前の由来は「銀の弾丸」で、通称ギンダマン。
勇者とは究極の器用貧乏である。

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モハポ劇場 渓流編 後半(下)
 アオアシラが逃げ込んだ滝の裏へ踏み込んだ一行は、広々とした鍾乳洞の中にいた。数万年の歳月を経て成長した石筍が石灰質の天井と床を繋ぎ、同時に支えているようだった。足元には澄んだ水がそこかしこに水溜りを作っており、右手奥にある鍾乳洞の裂け目から差し込む日光を反射している。
 彼らのいる場所から、左手奥にはちょっとした崖のようになっており、眼下には山の斜面に作られる段々畑のような光景が広がっていた。
「おお…… これは大自然の神秘だのう……」
「すごいですね…… これ自然にできたものなんですよね? ユクモ村の職人さんが彫って作ったとかないですよね?」
「ないと思うけど、作ったのなら、それはそれですごい話だ」
「ところでアオアシラさんはいないようだな」
 自然の作り出す絶景にしばし感嘆するも、当面の目標を忘れてはならない。周辺を見渡すが、逃げ込んだアオアシラはいないようだ。ランポスぐらいの鳥竜種のものと思われる骨が散らばった場所があり、何らかの飛竜種が餌場かねぐらにしている様子が伺えるが、フン等の状態からすると、やはりしばらくこのあたりにリオレイアをはじめとする飛竜種が来たことはないようだった。
「あー、奥のほうにさらに進めそうです。上り坂ですね」
 ましあの指差す方向を見たマリソルが少し鼻を動かした。
「ちょっと暖かい風が来ているな。おそらく洞窟から外に出られるのだろう」
「すると、アオアシラもそっちか」
 足跡でもあるかと思って地面をざっと見たギンダマだが、目当てのものは見つからなかった。
「順当に考えるとそうなるな」
「行きましょう」

 鍾乳洞を抜けると、そこは山の中腹にある高台のようだった。かなり年季のはいった吊り橋で谷を渡った先に、方角からすると、先程タケノコを採取した竹林があるようだ。
「いましたよ!」
 ましあが呼びかけ、ハンマーを準備した。彼女の視線の先には、朽ちた祠に大きな巣を作っていたキイロツチハチをうるさそうに腕で払いのけながら、足元でまっぷたつに割れた蜂の巣からハチミツを掬ってなめているアオアシラがいた。
「ッシャーコラァァ!」
 早速、力を溜めながら駆け出すましあを追うようにマリソルが双剣を抜いた。
「よしよし、では三方から囲むアレで」
「了解」
 ギンダマも駆け出す。抜刀から斬りつけられる太刀のギンダマが身軽さを生かして回りこむポジションを取るべく走る。
 迫る殺気に気がついたアオアシラが立ち上がるが、それは遅きに失したというべきだった。蓄積した力を解放したましあがハンマーと自身の体重で絶妙のバランスを取りながら回転して殺到すると、初撃がアオアシラの腰を強打した。仰け反りながらたたらを踏んだアオアシラの横腹に容赦なく第二撃が見舞われ、巨体が朽ちた祠に叩きつけられる。そこへ回転の勢いが全く衰えないましあの第三撃が襲い掛かり、みぞおちを強かに打たれたアオアシラが再び祠に激突した。
 連撃を見舞ったましあが横へ転がって場所を開けたタイミングにあわせて、ギンダマが太刀を引き抜いて振り下ろす。間一髪、アオアシラの頭を狙った一撃は甲殻のある左腕で払いのけられたが、その勢いも借りて、ギンダマはくるりと一回転して横薙ぎの一撃を放つ。右の二の腕を覆う毛が宙を舞い、その奥の肉にまで届いた手応えがあった。
 怒りのうなり声を上げたアオアシラが両腕を振り上げ、ギンダマにのしかかろうとするが、これは空振りに終わった。ましあと同じように、横に転がって逃げたギンダマは太刀を納め、間合いを取る。
 そこへ走りこんだマリソルの双剣がアオアシラの右脇を突き、左背面を斜めに斬るや否や、右背面へ斬撃が続き、ギンダマの太刀を一度は弾いた右腕を下から突き上げた。アオアシラがマリソルの姿を視界に捉えたときには、さらに右腹を薙ぐ一撃から続く、懐にもぐりこんで肋骨のやや下を二本の剣が貫いていた。
 剣を以って舞うが如きマリソルの動きはそれで終わりではなく、二本の剣はそこから左右に引き裂くように横へ走り、アオアシラはたまらず悲鳴を上げた。
 マリソルが左へ跳んで前転しながら剣を収めて立ち上がるのと、ましあがひるんだアオアシラへ必殺の縦三攻撃を叩き込むのはほぼ同時だった。
「縦三」
 正確に頭を捉えた一撃が、アオアシラを地面に叩き伏せる。
「縦三」
 続く後頭部への一撃。
「ピヨリンパ!」
 そして最後に掬い上げるかのようなハンマーの振り上げる一撃がアオアシラの眉間を捉えた。それがとどめとなり、ピヨリンパを一気に通り越して、アオアシラは動かなくなった。
「……あれ?」
「し、死んでる……」
「キメ台詞が決まっていないことを忘れていました」
 あっという間の出来事であった。

 討伐完了の狼煙を上げ、ギンダマたちが規定に沿った剥ぎ取りを済ませ、アオアシラが真っ二つにしていた蜂の巣からハチミツやロイヤルハニーを手に入れて喜んでから、しばらくの時間が経過した。
「……遅いな」
 ギンダマがつぶやくが、マリソルとましあはドス松茸の群生地を発見してむしりまくっており、特に気にしている様子はなかった。
 通常であれば、獲物を運ぶ荷車がギルドに雇用されたアイルーによって運ばれてきて、サイズその他を確認の上、輸送を開始するのだが、なかなか荷車が来ない。
「荷車まだですか?」
「我はアレに乗って楽して帰りたいのだが」
「まだみたいだ。ユクモ村に常駐のハンターがしばらくいなかったとか、山道が意外に険しいとか、ちょっと考えたけど、ここまで遅くなるのはおかしいな」
 ギンダマが腕組をして首を傾げる。
「もう私たちのポーチは山の幸でイッパイイッパイですよ」
「臨時ポーチを二つ持てるようになるべき時代が来たと我は思うが、どうか」
「……とりあえず、ベースキャンプに戻るか。
 狼煙の見落としとかの可能性もなくはないし、山の幸をニャン次郎に預ければ山の幸おかわりもありえるから」
 ギンダマの提案に、マリソルとましあは顔を見合わせた。
「おかわり無料的な」
「大盛り無料的な」
 笑顔でハイタッチする二人を見ながら、しかし、ギンダマは少し嫌な予感がしていた。

狩猟 | 12:00:00 | Trackback(0) | Comments(0)

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