■勇者紹介

Silverbullet

Author:Silverbullet
ルエリ鯖主に7ch/モハフは3鯖
名前の由来は「銀の弾丸」で、通称ギンダマン。
勇者とは究極の器用貧乏である。

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モハポ劇場 遭遇編(上)
 年季の入ったつり橋をおっかなびっくり渡ったギンダマは、振り返って、息の根の止まったアオアシラの姿を確認した。捕獲用麻酔で動かなくなった状態だったとしたら、場合によっては今回の狩猟が無駄になるところだったが、村人の安全確保のための狩猟だったわけで、仮にアオアシラが他の野生動物の餌になったとしても、ギンダマたちが損をするわけではない。
 しかし、つり橋を揺らし、谷を吹き抜ける風が急に冷たく感じ、彼は小さく身震いした。
「勇者さま、早く行きましょう」
「はーい」
 ましあの気づかわし気な声に努めて明るく返事をすると、駆けだす。

 平和な竹林を抜け、崖に面した山道に差し掛かると、一行は足を止めた。そこにはバラバラに破壊された荷車があり、岩陰に身を隠し、震えあがった様子のアイルーが一匹、彼らの前に姿を現した。
「だ、旦那さん方、すみませんニャ、荷車を壊されてしまったので、今、代わりの荷車を取りに戻っておりましてニャ……」
「いったい何があったんだ、怪我はないのか?」
 近寄って膝をつき、アイルーに尋ねるギンダマに、冷や汗をぬぐい、時々しゃっくりのような震えに襲われながら、アイルーは頷いた。
「それは大丈夫ですニャ……。ちょっと我々にもわからニャい、青白い大きな何かが……」
「アレか……」
 ギンダマが、ユクモ村に到着する直前、遭遇した謎の生物のことを思い出す。
「心当たりがあるのか勇者よ」
「うん……」
 ギンダマが立ち上がるのと入れ替わりに、ましあが震えるアイルーに近づき、ぎゅっと抱きしめてその場に座り込んだ。アイルーも震えながらましあにしがみつくようにして通り過ぎた恐怖から立ち直ろうとしているようだった。
「実は、ユクモ村に到着する直前、雨に降られたんだけど、その時、見たことのないモンスターに襲われたんだ。ぎりぎりのところで逃げ延びたんだが、その時、青白い光を見た。
 渓流に大型モンスターの出現が増え、ちょっと前、青白い光をまとう何かが俺を襲い、今、続いて荷車を襲って破壊した。これが別々の何か、ということは考えにくいだろう」
「同じ『何か』であると考えるのが妥当であろうな。
 新種のモンスターだと仮定して、まず帰還するのが一番安全ではある。しかし、何の証拠も情報も持たずに『新種のモンスターの可能性』だけを報告した場合、それがどのぐらい信用されるか、という問題はあると考えるべきだろう。
 ここがドンドルマであれば、勇者ギンダマの言に疑いを持つものは少なかろうがな」
「……」
 ギンダマにとっては痛いところであった。ユクモ村では、村長に常駐ハンターの使っていた家を提供されてはいても、ただの湯治客なのだ。シュレイド城の廃墟で黒龍を打ち破り、老山龍の頭蓋骨を(マリソルの矢で爆弾に点火して)砕いた勇者ではない。
「……そんなに遠くへは行っていないだろう、姿だけでも確認しよう」
「うむ。我も付き合う」
「私も行きます」
 アイルーを抱きしめたまま、ましあが決然と声を上げた。
「アイルーたちをこんな目に遭わせたことは許せません。証拠を必ず持って帰りましょう。例えばその新種のモンスターの死体とか!」
「そ、そうだね……」
「ましあちー、それ、解決しちゃってるからね、何もかも……」
「それはそれで!」

「とはいえ、正体不明のモンスターにいきなり襲い掛かって勝てるという確証はないので冷静になったわけですが」
 言葉とは裏腹に、ハンマーをぶんぶん振り回しながら渓流沿いを歩くましあがつぶやく。
「やっぱり今日明日には危機が迫っていた感じじゃないですか?」
「我もそう思うんよなー、無意識のうちに危機に吸い寄せられているとしか思えない節があるんよなー」
「いやいや…… 偶然だよ……」
 自分で言いながら、説得力がないと思いつつ、ギンダマは否定する。
「ところで、話は変わるが、青白い光をまとうモンスター…… 勇者はどう見る?」
「ここが雪山の洞窟とかであれば、真っ先にフルフルを連想するところだ。
 だが、雷属性のモンスターである可能性は高いと思う。それとは別に、今、例の遭遇時のことを思い出しているんだけど、確かに青白い光を見た。でもその光が何だったのか…… 何かこう、雷光虫のような細かい光をたくさん見たような気もする」
「ふむ…… 古塔の巨大雷光虫のような感じか」
「そうだな。それが一番近い。しかし、荷車を破壊し、アイルーにはっきりと『モンスター』だと認識されているからな…… 大型モンスターであることは確実だ」
「それに荷車の爪痕、そして足跡です」
 ましあが付け加える。
「ほぼ確実に四足歩行、飛竜である可能性は低いですよね」
「確かに」
「そういう奴がいるとして…… 水辺と森の中、どっちの可能性が高いかな?」
 渓流から湖のほとりに向かう下り坂を前に、ギンダマが意見を求めた。
「勇者さまが襲われたのは山道です。森の中かと」
 ましあの言葉にマリソルも頷き、ギンダマは西の森の中に向けて、歩く方角を変えた。

狩猟 | 23:35:41 | Trackback(0) | Comments(2)

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