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Silverbullet

Author:Silverbullet
ルエリ鯖主に7ch/モハフは3鯖
名前の由来は「銀の弾丸」で、通称ギンダマン。
勇者とは究極の器用貧乏である。

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モハポ劇場 遭遇編(中)
 クモが出た…! 俺がジンオウガ出せばクモはいなくなるはず。

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 森の中へギンダマを先頭にして進む一行。大きな古い切り株のある開けた場所に差し掛かるあたりで、ギンダマは足を止め、右腕を肩の高さに挙げて、腰を低くした。すぐさま、ましあとマリソルの二人も腰を低くした。
 ギンダマの視線の先には、四本足の巨大な生物が静かに周囲を伺っていた。黄色の大きな角のある頭部には肉食獣の鋭い眼、口元にはずらりと牙が並んでいる。太い前足には角と同じ色の爪があり、蒼い鱗に覆われた体表からはところどころ白い体毛が生えていた。背中には規則正しく並んだ黄色の突起がその体毛に覆われているが、尻尾には鱗と黄色の甲殻だけになっている。
「牙獣種…… に、しては、尻尾が太いか」
「獣竜種にしては前足が立派だのう」
「弱点はやはり頭でしょうか」
 既にどう戦うかを考えているましあの声に、ギンダマとマリソルが顔を見合わせ、小さく頷いた。
「どこか部位破壊して、それを持ち帰ろう。ただし、安全第一で。ペイントは俺が」
「らじゃ」
 ギンダマがポーチからペイントボールを取り出しながら駆け出す。マリソルは右へ、ましあは左へ分かれて走る。マリソルは尻尾を、ましあは頭を狙う方向だ。大型モンスターはギンダマを見咎め、威嚇の咆哮を上げた。大気を震わせる衝撃はギンダマの鼓膜を強かに打つが、顔をしかめながらペイントボールを投擲すると、素早く抜刀した。
 大型モンスターは何やら投げつけてきたギンダマをどう料理するかと思案でもしているようなそぶりで、ゆっくりとギンダマのほうへ頭を向けた。次の瞬間、左前脚が空を裂き、ギンダマの立っていた場所を薙ぎ払った。間一髪、右へ転がって回避したギンダマはその左前脚へ鋭い突きを見舞う。切っ先が甲殻で弾かれ、わずかな傷を残しただけだったが、それで十分だった。少なくとも、手持ちの武器が効かないような相手ではない、ということだ。
 マリソルは尻尾へ双剣を交互に振るいつつ、大型モンスターの注意が向かってきていないか、時々視線を動かしていた。ましあはギンダマを見据える大型モンスターの隙を逃さず、右肩へハンマーを振り下ろした。重い一撃が大型モンスターをたじろがせるが、先程のアオアシラとは比較にならないサイズのモンスターだけに、大きなダメージにはならなかったようだ。
 三方向から責め立てられ、大型モンスターはギンダマのほうへ突進することでその場から逃れた。角を向けて突進してくる大型モンスターの進路から身を引きつつ、胴を薙ぐ。その攻撃に浅いながらも手応えがあったと同時に、ギンダマは小さな痛みを手に感じた。
(……電気か?)
 その疑問はすぐに解ける。こちらに向きを戻した大型モンスターは、低い唸り声を上げながら、全身に青白い光を纏い始めた。前足や背中に生えた白い毛が帯電してパチパチと小さく爆ぜる。かつて雪山で対峙したキリンのまとう雷の色と同じだとギンダマは思った。そして、山道で自分を襲った謎の生物がまとっていた色とも……。
「マリソル、そこらに毛は落ちてないか?」
「あるぞ、数本だが」
「それを回収してキャンプへ向かってくれ。俺もすぐ行く」
「わかった」
 マリソルは双剣を納めると、地面に数本落ちた白い毛を拾い始めた。
「勇者さま、そっち、お願いします!」
「おっけー!」
 ましあは大型モンスターに向かって右から、ギンダマは左から駆け寄る。ましあのハンマーが大型モンスターの頭部を上から襲うのと、ギンダマの刀が逆袈裟に振り上げられるのが同時だった。単純な斬撃であれば、初撃の突きと同じように弾かれていただろう。しかし、ましあのハンマーにより下へ押さえつけられる力が加わることにより、斬撃はその威力を増す。
 大型モンスターの頬を覆う鱗を切り裂き、鮮血が飛沫となる。たまらず大型モンスターは悲鳴を上げるが、反撃に振り回した腕がギンダマを捉え、彼を地面に転がした。脇腹を打ち据えられ、二、三回地面でバウンドした彼の襟首をましあが掴み、そのまま引きずって逃走した。
 その様子を確認して、元来た方向へ移動してたマリソルは渓流の方向へ撤退した。

「大丈夫ですか、結構いいところに入っていたみたいですけど」
「……なんとか、大丈夫」
 応急薬を飲み干して、ギンダマは大きく深呼吸した。
「息が止まるかと思った」
「アバラが折れるまでは大丈夫ですよ」
「折れたら大丈夫じゃないな、確かに。それはそうと、助かりました」
 廃墟のある開けた場所までましあに引きずってもらったギンダマが礼を述べると、ましあはガッツポーズをしてみせた。
「今度は私が謎のモンスターをちぎっては投げする武勇伝をちっぷんに語るのが目標です」
「そりゃあ、楽しみですな」
 ギンダマは頼もしそうに言って、笑った。
「おっと、キャンプへ戻りましょう。マリソルが心配する」
「そうでしたね。急ぎましょう」

 キャンプに戻ると、両脇に二匹のアイルーを抱えたマリソルが立っていた。
「お待たせ」
「お待たせしましたー」
「無事だったか、二人とも。途中、山道でアイルーたちを回収してきました」
「マリソルさん、さすが!ネコ好きの風上に設置したい!」
 目を輝かせたましあが飛びつく。
「……旦那方、アイルー荷車が壊されたと聞きやしたが、何かあったんで?」
 キャンプで待機していた転がしニャン次郎がギンダマに尋ねる。
「初めて見る大型モンスターが現れたんだ。ひとまず、証拠になるかと、毛を数本手に入れて来た」
「それはそれは…… 災難でやしたね。
 アイルー荷車の代車が来たら、アオアシラ回収は任せて、ご帰還なさいやし」
「アオアシラは放っておいてもいいんじゃないか? 危ないぜ」
 実際に荷車が破壊され、下手をすればアイルーたちにも被害が出ていたかもしれないのだ。
「危険があるとわかっていれば、それなりの動きをいたしやす。あっしも手伝いに出るので、ご安心。
 ちょいとアオアシラをかっぱらってくる…… 昔取った杵柄でさァ」
 三度笠を少し下げ、ニヤリと笑うニャン次郎であった。

狩猟 | 03:28:12 | Trackback(0) | Comments(0)

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