■勇者紹介

Silverbullet

Author:Silverbullet
ルエリ鯖主に7ch/モハフは3鯖
名前の由来は「銀の弾丸」で、通称ギンダマン。
勇者とは究極の器用貧乏である。

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モハポ劇場 事情編(上)
 現在は渓流地域として、ユクモ村の住人が生活に必要な資材を採取する主な場所となっているが、かつては、ここに都市を建設しようとした人々がいた。人類はほかの生物との熾烈な生存競争を潜り抜け、その生存圏を着々と広げているが、それは都市の発展とともに各地へ旅立つ開拓団の存在を抜きに語ることはできない。
 開拓団は生活に便利な地形を見つけると、そこに開拓村を建設する。開拓団の指導者は通常竜人族が務め、そのまま村長となる。開拓村建設と共に、その報告がハンターズギルドに届けられ、村にはハンターや武器職人などが派遣される。
 ハンターは村周辺の探索や大型モンスターの狩猟を行い、武器職人はその素材を利用して武具を鍛え、残りの素材は村の拡大や交易路の維持のための資金になったりもするし、より直接的に村人の食料になることも多い。特に豊かな自然に育まれる草食竜の肉は、食用に飼育された家畜よりも味では劣るが、栄養の面では劣るところがない、貴重な蛋白源なのである。
 村に派遣されるのがほとんど場合新人のハンターであることは、まず草食竜を狩り、竜骨などで武具を揃えることとそういった食肉が手に入る一石二鳥の意味がある。

 その開拓団が、現在は渓流のベースキャンプになっている場所にたどり着き、野営を始めたのは約二百年前のことだった。次の日にはベースキャンプのそばに勢い良く湧き出る清水が滝のごとくなっている場所が見つかった。その水の流れる先には、南に向けて開けながら、三方を岩山に囲まれた土地があり、そこを居住区画することが決まった。
 その後の調査で、居住区画の南には広大な湖が、東には深い森と渓流が、その北には後に霊峰と称される山々を望む小さな広場があることがわかった。
 開拓団はこの小さな広場に、山々を祀る社を建設し、村の安全と発展を祈願した。広大な湖は港を建設して交易路になることが期待され、深い森は開墾して農場にすれば豊かな水と肥沃な大地の恵みを村人にもたらすだろうと思われた。
 さらに、湧き水の東に近辺を一望できる高台が見つかり、将来はハンターズギルドの集会場とするにふさわしい場所と考えられた。近くには竹林に住むアイルー族の住処が見つかり、ここは彼らの場所として保護されることとなったが、社につながる吊り橋の建設はアイルー族の了承と協力を得て行われた。彼らにとっても谷の向こう側へ行けるようになることは大きな利益であったのだろう。
 社の近くには鍾乳洞が見つかり、数万年の時を経て大地に穿たれた巨大な空洞は、いずれ村が発展して都市となった時、貯蔵庫や万が一の避難場所となるだろうと思われた。

 平和で希望に満ちた時が過ぎた。。

「そして…… 秋の初め頃、ドスファンゴやアオアシラの出現が増えて、彼らが不吉な予感を胸に宿すよりも早く、ジンオウガは現れたのです」
 村長はそこで言葉を切った。
「ドスファンゴやアオアシラの出現が増えて……」
「今の状況に似てるような……」
 マリソルとましあが顔を見合わせる。
「ジンオウガは…… それほど強力なモンスターなのですか」
 ギンダマが尋ねる。古龍相手でもワンチャン拾ってきた、という発言とは正反対だが、村長の語るように、渓流の開拓団がジンオウガに全滅させられたとしたら、これから挑む相手はすさまじい力を秘めていることになる。
「わかりませんの」
 村長は首を横に振って応えた。
「ジンオウガの出現は、確かに渓流の開拓団に大きな被害を与えました。しかし、同時に、新種のモンスターの発見ということで、王国書誌隊の応援も駆けつけたと聞きます。ほどなくしてジンオウガの生態や弱点などが明らかになり、ハンターが派遣されるだろうと誰もが考えていたことでしょう。
 ところが、その調査活動中、とてつもなく強力な嵐が渓流に吹き荒れ、開拓団は一夜にして全滅したのです。王国書誌隊もわずかな生き残りを除いてほぼ全滅し、渓流から撤退しました。
 こうして、ジンオウガの調査は中断され、渓流の開拓も頓挫、今に至りますのよ」
 小さく溜息をつき、村長は湯飲みのお茶を口にした。
「……勇者よ、ジンオウガが嵐を呼んだと考えられるか?」
「いや」
 マリソルの問いかけに、ギンダマはすぐに応じた。
「嵐や大風のような自然現象は、いかにモンスターが強力な能力を持っていたとしても、必要なエネルギーの桁が違う。通常は鋼龍と呼ばれるクシャルダオラに風翔龍という別名があるが、これは『天候を自在に操る能力がある』とされるからだ。
 実際、クシャルダオラと遭遇する時には視界がほとんど奪われるほどの豪雨や吹雪に見舞われると言われているが、その反面、実はその能力の有効範囲はせいぜい数十メートルほどだ、とも言われている。
 ドンドルマの最終防衛ラインでクシャルダオラを撃退した時の記録によると、撃龍槍のあたりが視界数メートルの豪雨になっていた時、エリア1のあたりは小雨程度だったという証言があるらしい。
 それを考えると、ジンオウガやクシャルダオラの能力を疑うよりは、本当に何百年に一度かの大変な嵐が渓流を襲ったと考えるほうが妥当だと思う」
「もしかしてですけど」
 ましあが珍しく遠慮がちに口を開いた。
「ジンオウガが渓流に出現して…… また嵐が来るということはありませんか?
 もしそうなら、しばらく渓流に行くのはやめにして、嵐に備えるだけでいいということになりませんかね? 嵐が去った後、ユクモ村ができて、今までジンオウガも現れなかったわけですから」
「あー…… 確かにな…… 嵐の進路がユクモ村を外れていれば、だが」
 マリソルが同意する。
「そうですわね。ユクモ村を建設する時、渓流の開拓団が全滅した嵐の影響を詳細に調べ、その範囲から外れたところを選びましたから、比較的安全かと思います」
「じゃあ、そうしましょう」
 村長の言葉に、ギンダマも頷いた。
「ユクモ村は大雨と暴風に備えるようにしてください」
 ふと、マリソルはギンダマの顔を横目で見た。ましあの言う安全策に彼が乗るのは意外だったのだ。もしかして、どう見ても危険に自ら飛び込んで行っているようにしか見えないと言ったのを気にしてのことか――
「それはそれとして、ジンオウガの狩猟には明日出発します」
「――と、思ったがそんなことはなかったぁぁぁ」
 考えていたことの後半を口に出しながら、マリソルが頭を抱える。れなはであれば真の勇者云々言うところであるが、
「勇者様?人の話?聞いて?危険が?危ない?」
 ましあが強めに異議を唱えるも、ギンダマは動じなかった。
「ちゃんと話は聞いてましたよ。村長の言うように、前回、ジンオウガが出現してから嵐が来るまで、かなりの時間経過があったわけです。王国書誌隊の応援が来たという話だが、どんなに早くてもひと月以上かかるでしょう。
 だとすればやはり嵐とジンオウガは無関係と考えるべきだけど、もし、ジンオウガが嵐を呼んだとする仮説が正しい場合、ジンオウガを討伐することで嵐を未然に防ぐことができる。エネルギーの桁が違うという話をしたが、エネルギーを蓄積する能力を持っていると仮定したら、可能性はなくはない、と、思う。
 だとすると、蓄積が終わる前に倒すことが重要となります。つまり?」
「出発は早いほうが良い」
「明日は早そうですね?」

狩猟 | 20:19:31 | Trackback(0) | Comments(0)
モハポ劇場 遭遇編(下)
「偽者? そんなの名乗らせておけばよい。困るのは本人だ」
「そういうものかなァ」
 ましあが「ご飯おかわりの前に、温泉おかわりです!」と言い残して出掛けたところで、ギンダマは浴場で会った自称ライナスについてマリソルに相談したのだが、マリソルは興味がなさそうだった。焼いたサシミウオの皮を慎重に身からはがしながら、続ける。
「考えても見よ、たとえばの話、勇者ギンダマを詐称したところで何の益がある? ミラボレアス来たんでヨロ! みたいな厄介事が持ち込まれるだけだ。同じように、ライナスを自称などして、覇竜アカムトルムが出たんでヨロ! みたいになるだけだ。
 大概の者はそこで死んで終わりであろう」
「しかし、その偽ライナスはアカム装備を持っていたんだ」
「余計に理屈がわからんではないか。アカムトルムを制する実力があるなら本名を名乗れば良い。逆に偽名など使って功績を挙げたら、ライナスの功績が積みあがるだけで、本人には何も残らない。危険な目に遭う分、損するだけだ」
「……」
 なおも納得していない表情のギンダマに、マリソルは苦笑した。
「それにしても、普段ならこういう理屈を説明するのはそちらだろうに、案外勇者もかわいいところがあるのだな。親友の名を騙られて気分が良くないのはわかるが、ただの同名で、ちょっとのっかっただけかもしれんではないか。いずれにせよ、他人と自身を同一化して、彼自身に得はないのだ。同時に、我らに損もない。
 それよりも、喫緊の課題について考えておくべきだと我は思うな」
「……ジンオウガ、か」
「うむ。勇者が山道でジンオウガに襲われた事実を踏まえると、既にこのあたりは縄張りとして認識されているだろう。放置すれば村人はもちろん、ここを訪れる湯治客にも被害が出るのは時間の問題だ。
 特に湯治客はそもそも治療を必要とする者なわけだから……」
 大型のモンスターに襲われればひとたまりもない、という言葉をマリソルは飲み込んだ。
「どうなるかは想像に難くあるまい」
「まあ、未知のモンスターとは言え、古龍ではないようだし、回復薬用意して物理で殴ればなんとかなるだろ。古龍は概ねどうにもならないモノだけど、これまでの戦いでもワンチャン拾って来たし」
 ギンダマは平然と言ったが、普通であれば病的な楽観主義と思われるのが普通の発言を、マリソルは笑って受け入れた。
「そうだろうそうだろう」
「ごめんくださいまし」
 戸口に立っていたのはユクモ村の村長だった。こころなしか、竜神族の長い耳がやや下がって見える。村長の遠慮がちな雰囲気をマリソルが摘んで捨てるかのように、軽く応じた。
「ちょうど良かった、村長、勇者はジンオウガ撃退を受注する」
「主語が狭いの気になる! 我ら、とかじゃない、普通?」
 すかさずギンダマがつっこむ。
「もちろん我も同行するが、契約の主体を勇者にしておかないと契約金の支払いが発生するでな。あまり細かいことを気にするでない、勇者よ。仲間を信じるのだ」
「もちろん信じてるけどさ、ちょっと気になった。ちょっとね」
「ちょっとであろう」
「うん」
「細かいことは気にするでない」
「そうしよう」
「その調子で報酬の振込先も気にしないでもらえると我としては非常に助かる」
「……」
 黙したギンダマがマリソルの発言を吟味するのに数秒の時間を要した。
「まさか所持金が契約金を下回っ」「あーあー聞こえない!」
 二人のやり取りを中断したのは村長の笑い声だった。普段であれば鈴を転がすような、とでも表現するだろうに、今はこみ上げてくる笑いを抑えることができないという大笑いだった。
「……乙女の懐具合を探ってバラすとは、勇者よ、これ堕落ポイントな」
「ちょ待って」
「よんまんゼニーぐらいで示談にしないこともない」
「それ連続狩猟クエストの4匹ぐらい出るやつでもらえる報酬に匹敵する金額……」
 そこにましあが帰ってきた。
「勇者様堕落ポイントよんまんですか!?」

 村長の笑いが収まるまで、しばらくの時間がかかった。

「あー」
 村長は笑いすぎてまだ呼吸が少し荒い、その横で、ましあが納得していた。
「勇者様のジンオウガ討伐クエスト受注票が貼ってない不具合があることを発見して、大至急修正していただきたいと思ったんですが、仕様でしたか」
「いや、ましあちー、不具合なのだ」
「やっぱり不具合でしたか」
「不具合なのかな……」
 疑問を呈するギンダマだが、マリソルは取り合わず、続けた。
「しかし、明日の朝にはこの不具合は修正される」
 この言葉に、ましあは無言のまま握りこぶしから親指をグッと立てて見せた。
「みなさん…… ありがとうございます。
 しかし、なおのこと、知っておいていただかねばなりません。かつてのユクモ村に何が起きたのか…… お話します」
 村長から憂いが消え、村の指導者として人事を尽くす決然とした雰囲気が取って代わっていた。

狩猟 | 19:49:41 | Trackback(0) | Comments(2)

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