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Silverbullet

Author:Silverbullet
ルエリ鯖主に7ch/モハフは3鯖
名前の由来は「銀の弾丸」で、通称ギンダマン。
勇者とは究極の器用貧乏である。

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モハポ劇場 渓流編 前半(上)
 今回は「やや下」というのはない方向で考えています。
 以下、本文。

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「本来は、特産キノコや特産タケノコの採集から慣れていただくんですけど、ギンダマさんは経験あるみたいだし、問題ないですわね」
 村長は微笑んで、手元の書物から一枚の紙を抜き出した。池のほとりで村長が開いていた書物は、ユクモ村の村人からの報告や要望などだった。その内容を把握して、解決するための策を考えるのが村長の務め。解決策がハンターへの依頼になることは良くあることであった。
 ユクモの鬼門番の父親は腕利きの大工であり、またきこりでもあるが、木々の様子を見たり、山菜を取りに出たとき、大猪に遭遇してかなり危険な目にあったとのことであった。
「ブルファンゴぐらいなら良く見かけるのだけど、ドスファンゴまでとなると、少し気になりますわね。村人に追い払える相手ではないし。
 ギンダマさん、よろしくお願い致します」
 クエスト依頼書を受け取り、ギンダマは頷いた。

 ユクモ村からさほど離れていない地域、渓流と呼ばれる場所に、ベースキャンプが設置されていた。ギンダマが支給品ボックスに近寄ると、その遥か向こうからごとごとと何かが転がる音が聞こえてきた。
 ベースキャンプは山の中腹にある窪みにあり、ここに来るには急な坂道を登る必要があった。転がる音が近づいてくるのは不自然であり、ギンダマは怪訝に思って視線を坂道のほうに移した。
「ニャーニャニャ~」
 コブシの利いた歌を歌いながら、横倒しになったタルの上で足を動かすことでタルそのものを回転させ、これを推進力にして坂道を登ってくるメラルーがいた。ユクモの胴着とセットになっていたつば広帽子と同じデザインの小さなもの、ユクモの胴着に似た布を合羽のように羽織ったメラルーで、口元には草の茎を加えていた。
「おっ、旦那さん、お早いお着きで」
 そのメラルーはギンダマの横までタルを転がしてきたかと思うと、ひょいと飛び降り、ギンダマの前に立った。そして、つば広帽をサッと脱いで小脇に抱えると、少し腰を落として、左手をこちらに突き出し、肉球を上にして見せた。
「お控えなすって」
「……えっ」
 ギンダマが戸惑いの声を出すと、そのメラルーはしばしの間を空けて、もう一度、同じことを述べた。
「お控えなすって」
「お、おう……」
 ぎこちなく、戸惑いながらギンダマが一歩下がって、とりあえず両膝をついて正座の姿勢を取り、手を膝の上に乗せると、メラルーは小さく頷いた。
「お初にお目にかかりやす、樹海は朽ちたご神木通りの生まれ、こそ泥稼業に嫌気が差して、各地を旅するメラルー族、姓名の儀は『転がしニャン次郎』と発しやす。
 以後、お見知りおきを」
「これはご丁寧に…… ギンダマと申します」
「旦那さんの荷物が多くなってくると、もっと採集できるのにあきらめなければいけないことが多々あるとお聞きしておりやす。そこで、あっしが旦那さんの荷物を預かって、拠点に運ぶタル配便サービスを承りやす。
 ただし、何度も往復するのは身体の小さなメラルー族の悲しさ、無理でごぜえやすので、クエストあたり一度きりとさせていただきやす」
 実に便利な話であった。だが、気になることもある。
「……ちなみに」
「おっと、あっしはメラルーですが、こそ泥稼業からは足を洗いやした。お預かりした荷物はすべて、確実にお届けしやす」
「代金のほうは……」
 ギンダマが気になっていたのは代金だった。ハンターは通常、現金をクエストに持って出ない。買い物をするような場所がないからだ。ニャン次郎はギンダマの言葉を聞き、じっくりと噛み締めるように味わってから、告げた。
「お代はハンターギルドからまとめていただいておりやすので、旦那さんは無償で」
「まじすか」
 その後、ベースキャンプで待機していること等、タル配便の業務に関する細かい事項をニャン次郎がギンダマに説明すると、彼は納得し、喜び勇んで出掛けて行った。
 その後姿を見送って、ニャン次郎がひとりつぶやいた。
「メラルーのあっしを最初から疑わないとは…… ありがてえ……」
 野生のメラルー族がかっぱらいのようなことをすることは広く知られており、それゆえの苦労が絶えないのであろう。それだけに、ただのお人よしであっても、疑われないことが嬉しく感じるのであった。

「薬草!ネンチャク草! 石ころ、からの素材球!」
 ベースキャンプから程近い沢で、ギンダマは素材を集めていた。手際良く、調合して狩猟に使える道具にまとめてしまうのも手馴れたものだ。沢を離れ、崖沿いの山道に差し掛かると、抜け目なくキノコの群生地を見つける。
「特産キノコ!アオキノコ! からの回復薬」
 そこへ運悪く通りかかったケルピを見つけると、背中の太刀を抜いた。あっという間にケルピをしとめると、手早く捌いていく。
「毛皮からの~ホワイトレバーからの~生肉からの~」
 どん、と携帯用肉焼きセットを取り出したギンダマが火を熾す。
「上手に焼けましたァ!」

「ここまで聞こえてやしたぜ」
 やがて鼻歌を歌いながら戻ってきたギンダマに、ニャン次郎は一応、知らせておいた。
「ごめんごめん、久しぶりでちょっと楽しくなってしまってね」
 ポーチぎっしりになった細かな素材、それに丁寧に巻かれた数枚の毛皮など、ギンダマが預けたいと申し出た荷物はニャン次郎が受け取ると、次々にタルへ収納した。
「ああ、特産キノコとかはギルドの精算がありやすので、納品ボックスへお願いいたしやす」
「便利になったなァ」
「確かにお預かりいたしやした。それじゃ、ごめんくだせェ」
 ニャン次郎は荷物の詰まったタルを蹴り倒すと、その上に飛び乗り、ギンダマの前に現れた時と同じように、タルを転がしながら去っていった。あんなに転がして大丈夫かと思わなくもなかったが、まあ、大丈夫なのだろうと、ギンダマは楽観的だった。
「さて……」
 ギンダマの表情が少し変わった。これから狩猟という戦いに出るハンターの顔であった。

狩猟 | 12:34:56 | Trackback(0) | Comments(0)
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