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Silverbullet

Author:Silverbullet
ルエリ鯖主に7ch/モハフは3鯖
名前の由来は「銀の弾丸」で、通称ギンダマン。
勇者とは究極の器用貧乏である。

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モハポ劇場 渓流編 前半(下)
 平日のみ連載のつもりだったが…

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 ベースキャンプの坂を下り、沢を抜けて南に向かうと、切り立った崖にはさまれた広い野原に出た。南向きで日当たりが良く、沢から流れてくる水が作る小川が流れている。野心的な指導者がいたのだろう、ここに新しい村かキャンプを作ろうとしたとしても不思議ではないが、それは夢破れたようだった。
 野原の中央部には大きな建物が傾き、半ばつぶれて、朽ちていた。見れば、小川のそばには放棄されたのであろう、耕作地の跡が見て取れた。それは少なくとも十年、ともすれば数十年の昔に放棄された集落に見えた。
「……」
 その眺めに一抹の寂しさを感じたギンダマは、しばしそこに立ち尽くした。ユクモ村の村長は発展や拡張をあまり望んでいないように感じた。ただ、現在がそう見えるだけであって、過去、もしかすると、より豊かな生活を求めて、発展のために努力した時期があったのかもしれなかった。それが失敗したのだろうか。
 クロマツの教訓、その話を思い出すが、ここはさほど海に近いわけではない。あの教訓を村長がそのまま体験したと考えるのは少し無理があるだろう。
 その時、ギンダマの眺める廃墟の向こう、南の空に飛行船が浮かんでいるのが見えた。
「おっ、こいつはラッキーだ」
 ギンダマは南に走ると、飛行船に向かって大きく手を振って見せた。観測隊の飛行船であれば、こちらの動作に気が付いた時に発行信号で近隣の大型モンスターの位置を知らせてくれる。
 ただ、必ずしも観測隊がこちらに気が付く保証はない。
 しばらく手を振って、今はほかのものを見ているのかと、ギンダマがあきらめようかとしたタイミングで、発行信号が見えた。
「東か……」
 発行信号を読み、ギンダマはもう一度手を振って返礼してから、支給品ボックスから手に入れた地図を広げた。この野原からは、ギンダマが来た方向である北、それから崖沿いの山道につながる北東、発行信号の示す東、そして南東へ進む道がある。
 ギンダマは東へ進む道を目指して走り出した。

 観測隊の飛行船の上には、舵を握りながら、双眼鏡で遥か前方にある山脈をつぶさに観察する船長と、その隣で双眼鏡を首から下げ、発光信号の操作パネルから顔を上げたフードの男がいた。先程、ギンダマにドスファンゴの位置を知らせたのは彼だった。
「どうですか、船長。周辺にはドスファンゴぐらいしか見えませんでしたが」
「うーん、こっちも今のところ収穫はなしだな」
 双眼鏡を降ろし、船長が答える。
「たしかに、霊峰が分厚い雲で覆われているが、季節的に不思議じゃないしな……。
 もうしばらく様子を見ようか。お前は引き続き地上のほうを頼む」
「了解」
 船長は伝声管の蓋を開け、そこに報告した。
「今のところ異常なしです。引き続き観測を続けます。
 地上の渓流エリアにドスファンゴがいるようですが、これの狩猟にはもうハンターらしきものが出向いているようです。どうぞ」
 しばらくの間をあけて、伝声管の向こうから、竜人族の老人が返答してきた。
「よろしい、引き続き観測を続けよ。……霊峰の古龍を発見するのが最優先であることを忘れるな」
 返答は一方的な伝声管が閉じる音で締めくくられた。暗に「地上のことなど構うな」と言っているようだが、そもそも観測隊の役割は広く情報を集め、適切に知らせることであって、自分の都合で優先順位を決めるべきではないと、船長は考えていた。
 伝声管をこちらも閉めて、溜息をついた。
「ツイてねえぜ、こんな面倒なやつァ、久しぶりだ」
「嵐を操る古龍、本当にいるんでしょうか」
「うーん、どうだろう……」
 フードの男が地上を注意深く見渡しながら、船長に疑問を投げかける。
「この地方には竜巻とか豪雨による災害が数十年に一度のペースで起きているけど、ほかの似たような地域と比べて特に多いというわけではない。多い地域はもっと多いし。
 とはいえ、伝承には嵐の中に純白の龍を見た、というものがあることも事実だ。嵐の中、雷光を反射して白く輝いたクシャルダオラじゃないかとする学者もいるし、別のもっと強力な古龍だと考えている学者もいる。
 百聞は一見に如かずと信じて俺たちは観測にでるわけだが、昔に一見した記録をもとに学者連中があーでもないこーでもないとモメてるから」
「なるほど……」
「あれ、ちょっと風向き変わってるな……」
 話を中断して、船長が舵を調節した。風を正確に感じ取り、舵を調整して一ヶ所にとどまる技術は一朝一夕で身につくものではない。船長は安全第一で、じっくり観測を進めるつもりだった。
 少なくともあと丸一日は、観測を続けられるだけの燃料や食料を積んでいたし、少し山道をあることになるが、山腹に着陸すればユクモ村で必要なものを補給することもできるはずだ。

 東にやってきたギンダマは、注意深く立ち木の陰に身を隠しながら、油断なく周辺をうかがっていた。すると、遠くに見える巨大な、両腕を広げた大人十人でも周囲を囲めそうにないほどの大きさの切り株のそばに、大猪の姿が見えた。
 一般的なブルファンゴの倍以上はある大きさで、牙も天を突かんばかりに発達し、体毛は年を経てうっすらと茶色が褪せ、白いものが増えている。
「こいつは大物だ」
 ギンダマはドスファンゴが地面のにおいを嗅ぎながら、こちらに背を向けるタイミングを待った。そして機会が訪れたと見るや、木陰から飛び出して森の中を駆けた。
 落ち葉が堆積し、あるいはそこにやわらかい苔の生えた地面は、ギンダマの疾駆にも反発の声をあげなかったが、さすがに駆け寄ってくる気配まで消してはくれなかった。また、その必要もなかった。
 ドスファンゴがギンダマの気配を察知し、向き直るその瞬間には、ギンダマは背中の太刀を抜き放ち、大上段から振り下ろさんとしていた。

狩猟 | 10:52:05 | Trackback(0) | Comments(0)
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