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Silverbullet

Author:Silverbullet
ルエリ鯖主に7ch/モハフは3鯖
名前の由来は「銀の弾丸」で、通称ギンダマン。
勇者とは究極の器用貧乏である。

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モハポ劇場 渓流編 ハーフタイム(上)
 前後の脚を縄で縛られ、太い棒にぶら下げられた状態のドスファンゴが村に運ばれてくると、たまたま居合わせた村人は目を丸くして、そばを歩くギンダマとその獲物を交互に見ては何事か囁きあっていた。
「あらあら、こんなに早くお願いを聞き届けてくれるなんて……。本当に助かりましたわ。ギンダマさん、ありがとうございます。村を代表してお礼を致しますわ」
「いや、それほどのことは……」
 賞賛を惜しまない村長に、若干恐縮しながら、ギンダマは答えた。不意を討ったにもかかわらず、牙でぶっ飛ばされたり、応急薬を飲むところを尻に突進されたりと、あまり格好の良い戦いぶりではなかったからだが、村の人々はあずかり知らぬこと。村長がかつて常駐ハンターの使っていた家を提供した話のほうが先に広まっているようだった。
 その後の村はちょっとしたお祭り状態になった。村の広場に祭壇のようなものが設けられ、その上にギンダマが狩ったドスファンゴがお披露目されるカタチとなった。なんでもユクモ村では稀に見る大物だとのことで、老若男女問わず山仕事や畑仕事の合間に広場に立ち寄って感嘆の声を上げていた。
 門番の若者などは「最初に会ったときからタダモノじゃないと思っていたぜ。オイラのライバルと認めてもいい」などと言い出す始末であった。
 そうこうしているうちに、どこからともなく屋台が出現し、アイルー族が目を回しそうな忙しさながら、慣れた手つきで手際よく山菜を刻み、猪肉を切って鍋に放り込み、時々味見をしながら、できあがった汁物を村人や湯治の客に分け隔てなく振舞っていた。
 大きな獲物が出たときは村の主な備蓄食料である干し肉を入れ替える意味もあり、こうして無料の郷土料理、ユクモ汁が振舞われるのだそうだ。
 ここしばらく、この振舞い汁がなかったとのことで、村人の喜びようは若干ギンダマの腰が引けるほどのものだった。彼もにこにこがおの村人に渡されたドスファンゴ丼(ギンシャリ草の実を炊いたものにドスファンゴの肉を焼いて乗せ、秘伝のタレをかけたもの)を手に、村の広場にある浅い湯だまり、通称ユクモの足湯の岩に腰掛けた。
 さっそくいただくと、ほくほくのギンシャリにタレがからんだだけでもうまいのに加え、歯ごたえがあり、噛むほどにうまみの出る肉と秘伝のタレが作り出す絶妙な味わいがすばらしい一品だった。
「これはウマいや」
 狩り中に携帯食料を食べてはいたが、それとは比べ物にならず、ぺろりと平らげてしまった。
「いい食べっぷりだ。渓流天然水で潤すがよい」
「あ、これはどうも……」
 横合いから差し出された竹筒に手を伸ばしながら、持ち主の顔を見ると、見知った顔であった。
「マリソル……」
「ごはんが貰えると聞いて飛んできました」
 褐色の滑らかな肌と黒髪、瞳はごく稀にしか発見されない高純度のマカライト鉱石よりも蒼く透き通り、初対面で南の海に浮かぶ小さな島を治める王国の姫君だと紹介されれば納得しても不思議はない印象がある。
「……いやいや」
 あやうく村人の前で「こんな山奥まで?」と言ってしまいそうになるのをこらえ、その言葉を飲み込んだものの、代わりに気の利いたセリフは出てこなかった。
「ふふ、さすがに偶然だ。でもゴチになったので間違いでもない」
 ギンダマの隣に腰掛けるマリソルは、ユクモの胴着に雰囲気はにているが、明らかに異なる素材を使用した軽装の鎧と胴着を身に着けていた。
「話すと長くなるので簡潔に言うとだな、例の一件以降、ドンドルマはますます発展して住みやすくはなったが、パローネキャラバンだとか狩頼人だとかいろいろ設備や制度が増えたりするのと反比例して面倒ごとが増えてしまったのだ。根がぐーたらな我としてはもう少し静かな場所に移ってのんびり過ごしたいと、こう考えたわけだ。
 そんな折り、ましあちーもちょっと生活に新風を入れたいということで、二人で検討の結果、いろいろリゾート的な候補はあったものの、また勇者が悪ガキにいじめられていないかと心配してはるばる隣の大陸までやってきたというわけなのだ」
 そこまで話すと、くっ、と小さなうめき声を上げながら、芝居がかった仕種で目頭を押さえるマリソル。その様子に気圧されて、ギンダマはマリソルの語りに登場したもう一人の友人、ましあについて質問しようとした言葉が喉まで来ていたのだが、引っ込めた。
「我、健気!仲間想い! そう思うだろう勇者よ!」
「あ、ああ……」
 ギンダマが促されるままに首肯すると、マリソルは一転、にんまりと笑みを浮かべて言った。
「そう思うなら、なんか野菜的なものも食べたいのでいちばんいいやつを頼む」
「……相変わらずで安心したよ。で、そのましあさんは?」
 がっくりと肩を落とすも、苦笑交じりに姿勢を元に戻すと、先程飲み込んだ言葉を口にした。返事は至って簡潔に「お風呂」とのことだった。

 屋台からギンダマが運んできたペピポパンプキンの甘辛煮を肴に、マリソルはハコビールをちびちびやりながら道中の土産話(あるいは愚痴)をギンダマに語っていた。
「あの乙女装備は気に入っていたのだが、材料にエールナッツやドスビスカスを使っているので、生態系保護のためとかなんとかで、持ち出しができなかったのだ。
 他のものもいろいろ申請したのだが、持ち出し申請と不許可書類の応酬に嫌気がさしたのでほとんど持ち物は処分してしまった。あれはどうにかならんのか。
 あれらにどれほどの金と素材をつぎ込んだか… ブツクサ…」
「俺も処分したから気持ちはわかるが、装備が充実したハンターがそのまま移動してしまうと、移動先への影響が大きいからな。各地で新人ハンターが腕を上げ、それと共に工房も技術を獲得するように考えているのだろう。
 技術や知識は、あっという間に失われるし、そうなれば取り返しがつかないから。
 ……しかしまあ、しばらくは遊んでいられるだけのお金になったんじゃないか?」
「なったことはなった。
 しかし、我の欲しているのはしばらくなどではなく、この先ずっと遊んでいられるだけの金なのであって、それに比べればたいした金額ではない」
 スケールが大きいのかよくわからない野望のような何かを断言するマリソル。
「それに、カネは天下のまわりモノというではないか」
 なんだか雲行きが怪しくなってきたぞ、と思いながら、ギンダマは訊いた。
「具体的には」
「……ちょっと ……つやつやお大尽…… 的な、生活をした」
「なるほど。で……」
「みなまで言うな」
 さらに詳しく聞こうとするギンダマに手のひらを向けて強い回答拒否の意志を示し、マリソルは視線をそらして残りのハコビールをぐいっと飲み干した。

狩猟 | 12:14:48 | Trackback(0) | Comments(2)
コメント
ひとの性格と人生観とライフスタイルと経済状況をコンパクトに説明しおってからに( ˘ω˘)
えげつなさとがめつさは乙女心で偽sコーティングしてあるから大丈夫なんですよ( ˘ω˘)
2016-07-13 水 12:24:16 | URL | まりそ [編集]
> まりそる
良い人間関係は正しい相互理解の上にしか成り立たないことを考えると、現状は概ね歓迎できる状況と言えるだろう。
2016-07-14 木 16:01:53 | URL | Silverbullet [編集]
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