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Silverbullet

Author:Silverbullet
ルエリ鯖主に7ch/モハフは3鯖
名前の由来は「銀の弾丸」で、通称ギンダマン。
勇者とは究極の器用貧乏である。

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モハポ劇場 渓流編 ハーフタイム(下)
「ドラグライトもカブレライトも、結局、持ち出せずに売り払ったのだ。来る日も来る日も採掘に精を出して集めたのに、だ! その腹いせにちょっと普段できないような贅沢をしていかん法はあるまい!
 だが今では反省している!」
「まあまあ」
 ギンダマは空になったジョッキを椅子代わりの岩に叩きつけたマリソルをなだめるべく、おかわりのハコビールをジョッキに注いだ。と、そこへ、湯上り間もないのだろう、頬を少し上気させた赤髪の女性が現れた。女性向けのユクモの胴着を身に着けており、手元には桃色の巾着袋があった。女性の中では少し大柄な印象だが、それもそのはず、ギンダマやマリソルと同じく、ドンドルマでハンターとして戦っていた歴戦のつわものであり、その鍛錬の賜物であろう。
「あ、勇者さまおひさしぶりでーす」と、ギンダマに手を振り、朗らかな挨拶をする。
「やあ、ましあさん、お久しぶり。元気してましたか?」
 立ち上がり、歓迎の笑みを浮かべるギンダマ。
「元気とやる気なら売るほどあります! ちょっと前のめりなやつだけですけど!
 でもここしばらく、火事場発動状態でガノトトスを乱獲する生活に疑問を感じてしまって、狩猟に身が入らなかったのでだらだらしてたんです。
 気分転換に旅行でもしようかと思ったところに、マリソルさんも同じようなことを考えていたことを聞いて、ご一緒しちゃいました」
 言葉通りの元気さで返事すると、ましあは何かを思い出したように息を呑んだ。
「あっ! 勇者さま、そういえば……」
「ん?」
「やっぱり…… 迫ってるんですか?」
「えっ?」
 ギンダマが何のことか分からずに聞き返すと、ましあが巾着袋の紐を握る手に力を込めた。力が入りすぎて少し震えてすらいる。
「勇者さまがユクモ村に現れるということは、世界の危機とか人類の危機とか温泉の危機とか、そういうのっぴきならないアレが迫ってるんですよね、もう明日明後日にはヤバい! 助けて! みたいな!」
「いやいやいや、俺は昨日ココに来たぐらいなんで、詳しくは分かりませんけど、そんな危機が迫ってる話は聞いてませんよ」
「分かりました、明々後日ぐらいにはもうヤバい感じですね!」
「いやいやいやいや、違います、落ち着こう、まずは落ち着こう。
 マリソルも何か言ってくれ」
「さすがの我も全く懲りずに自分からピンチに飛び込む勇者の性癖にはひくわー」
「そうじゃない!」

 氷晶石でキンキンに冷えたユクモラムネを飲んで若干落ち着いた様子のましあ、既にハコビールでほろ酔いのマリソルとユクモ村や周辺の事柄、あるいはドンドルマでの思い出話をしているうちに、ふと気になって、ギンダマは尋ねた。
「そういえば、いつぐらいまで滞在されるおつもりで?」
「特に決めてないです。とはいえ、しばらく温泉で英気を養ったら――」
 ましあの言葉に、ギンダマは質問したことを少し悔やんだ。自分から再会した嬉しい時間の終わりを確かめるようなものだった。
「狩りに行こうかと」
「――え?」
 ギンダマは予想に反した返答に、思わずましあの顔を見た。
「いえね、そもそもユクモ村に来たのは、先日創刊された女性ハンター向けの狩猟雑誌『ハン☆ハン』でユクモ村が特集されてたって、まりそるさんが教えてくださったからですよ。旅行のついでに狩りに来たわけです」
「……ほほう」
 マリソルの様子を伺うと、さりげなく視線を外し、サシミウオの刺身をつまんで、なにやらアドバイスめいた口調で言った。
「お小遣い稼ぎは魅力的だったが、かといって勇者のことをカケラも心配していなかったかというとそうではないわけで、比率についてとやかく詮索しない器の大きい男がモテるともっぱらの噂だぞ」
「そういうことにしておこう」
 器が大きいに越したことはない。全面的にギンダマは賛成だった。
「ちなみにこれがその記事です」
 ましあが差し出してきた書物をギンダマは慎重に開く。
「なになに…
 『山道をガーグァ荷車で越えたら、おいしい空気にほかほかの温泉でゆったりデトックス★ つやつやの温泉たまご肌になったらリオレイア狩りでゆるふわ愛され雌火竜女子(はぁと) 最強竜姫着回しコーデでこの夏を狩り抜く!』
 『長らく常駐ハンターのいないユクモ村ではクエストよりどりみどり★ デキるハンター女子は賢くお小遣い稼ぎを兼ねてちゃっかり自分磨き(はぁと) ユクモの堅木を伐採する技術を身につけて、ライバルも伐採!』
 なかなかスゲえコト書いてあるな」
「まあ女子の半分はえげつなさでできているので、致し方ないですね」
 ましあが力強く断言し、マリソルはうんうんと頷く。
「……残りの半分はやさしさですか?」
 ギンダマの問いに、二人は首を横に振った。
『がめつさです』
「嘘だと言って!」

 村のお祭り騒ぎも片付けに入り、使い終わった食器等を重ねて水場に運ぶ手伝いなどをした後、ギンダマたちも村の広場を後にした。
「じゃあ、我たちは湯治客の宿舎に部屋を借りてあるのでそっちに帰るでな」
「明日はよろしくお願いしますね。リオレイアなんざ素手で!」
「装備は万全で行くよ」
『おやすみなさーい』
 手を振って二人を見送ると、ギンダマも家に入って寝床に就いた。
「……あれ?」
 ベッドの上で身体を起こす。ギンダマのほうが先にユクモ村に来ていたと思われる状況だが、だとすると、村長が「湯治客の宿舎はイッパイ」と話したのはおかしいのではないか? 空き家が提供されたのは門番の若者に促されるまま村長に挨拶をして元ハンターだと名乗ったからだろうか。それとも、渓流で狩りをしている間に、ユクモ村を発った湯治客がいて、そこに入れ替わりで彼女たちが案内されたのだろうか。
 再びベッドに身を投げ出す。
「ま、いいか」
 少なくとも村長が自分に害意を抱いているようには思えない。あれこれ詮索するよりも、素直に好意を受けていたほうが、彼の性に合っていた。

狩猟 | 12:00:01 | Trackback(0) | Comments(0)
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