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Silverbullet

Author:Silverbullet
ルエリ鯖主に7ch/モハフは3鯖
名前の由来は「銀の弾丸」で、通称ギンダマン。
勇者とは究極の器用貧乏である。

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モハポ劇場 事情編(中)
 ユクモ村から歩いて少々離れたところにある開けた草原に、ギルドの飛行船が停泊している。深い森に覆われた山ばかりのこの地方では珍しい場所だ。周囲の森との境界線上には年月を経て苔むした切り株があるところを見るに、かつては耕作地だったのかも知れない。すっかり日は落ちて虫たちが気ままに音楽会と舞踏会を催す時刻、飛行船の廊下に黒い鎧を身に着けた護衛の男が腕を組んで立っていた。
「……遅いぞ」
 鼻歌を歌いながら、さくさくと背の低い草を踏み分けて、飛行船に戻ってきた荷物運びのフードの男にとがめる口調で声を掛ける。
「おや、自由時間の終わりには間に合ったはずだが?」
「予定を早めて、急ぎ、出発するそうだ。すぐに準備にかかれ」
「あいよ」
 軽く返事をして飛行船のはしごを上り、廊下まで上がったところで、行く手を黒い鎧にふさがれる。
「貴様、今回の探索行の重要性を理解しているのだろうな」
「もちろん。しかし重要ではない仕事はないというのが、乗組員の共通した意識でしてね」
 答えながら、するりと脇を抜けて、フードの男は操舵所にいるであろう船長のもとに赴いた。
「戻ったか」
 彼を待っていたのか、船長は姿を見るなり声を掛けた。
「予定を変更して、出発することになった」
「護衛がイラついてましたけど、依頼人から無理押しでもあったんで?」
 依頼人… 元大臣の竜人族はこの探索行で古龍の存在を発見しようとしていることは、彼も承知のことだった。数日間にわたって観測を続けているが、目下のところ、成果は上がっていない。護衛の男がイラついているのは、成果を上げて返り咲きを狙っている元大臣の焦りを反映しているのだろうと、考えていた。
 しかし、船長は首を横に振った。
「いや… 出発を早めようと言い出したのは俺なんだ。
 実は、霊峰付近に大型の低気圧が… 発生している… ようなんだ」
「発生? 接近ではなくて?」
「他の観測隊の報告による天気図を照らし合わせると、そういうことになる。この地域の天候は概ね高気圧に覆われていて、気温も湿度も低い。上空の冷えた空気が降りてきて、山頂付近の湿った空気を雨雲に変える事はあっても、気圧がさがることはない。ところが、ここの気圧は、これだ」
 船長がお気に入りの気圧計(耐衝撃ガラスに水銀を詰めた最新式のものだ)を指差す。赤い目盛りとガラスを挟んだ向こうにある水銀の表面は、嵐が接近していると判断してしかるべき値を示していた。
「俺の思い過ごしならいいんだが、例の古龍… もしかすると… もしかするぜ」

「ククク… まだまだワシの運は尽きていなかったらしい… そろそろだと思っていたのだよ… そろそろだとな…」
 灯りの消えた船室では元大臣が腹の底から沸きあがって来る歓喜を押さえきれず、独り言を口にしていた。
「観測員どもは『いるかいないかわからない古龍を追っている』とでも思っているのだろうが、古龍は『いる』のだ。
 そのことはワシが一番良く知っている。このワシ自身がな…」

 ユクモ村の集会浴場では閉門の時間になり、受付嬢が書類の整理をひと段落させて、空を見上げていた。
「ハァ…」
「どうしたの、持病の癪?」
「違うわ」
 同僚は何かにつけて持病の癪を持ち出すが、彼女は別に持病がない。しかし、長年の付き合いの中で、口癖のようなものだと思って訂正もしなくなっていた。
「私、天気が悪くなると頭痛になるのよ。それは体質として受け入れるけどさ、こんな星空で天気も悪くないのに頭痛なんて、気分がダダ下がりよ。天気に連動するなら『便利な体質なの~♪』で済むのに」
「済むのかなあ」
「訂正、済ませてきたの」
「はァン」
 あいまいな相槌。
「まあいいわ、こんな日はさっさと寝るに限る! ギルドマスター、お願いね」
「運んでおくわ」
 二人の視線は集会浴場のカウンターの隅の上で酔いつぶれているギルドマスターに集まった。基本的にギルドマスターは四六時中呑んでおり、こうして酔いつぶれて眠ってしまうのも珍しいことではない。職務はこなすが、職務中も呑んでおり、時折武具屋のモミジィが湯浴みがてらに立ち寄ったときは倍ぐらいのペースで呑むので、要するに常に呑んでいる。
「むにゃ… 竜人八百年… 化天の内にくらぶれば… 夢幻のごとくなり… ウィ」
「今日はモミジィ来てたのね」
「例のごとく、モリ盛で盛り上がってたわ」
「座布団敷いて毛布掛けておけばいいか」
「そうね」
 受付嬢たちは方針を変えた。
 頭痛持ちの受付嬢が慣れた手つきでギルドマスターを持ち上げると、同僚が素早く座布団を滑り込ませる。起こさないようにそっとやわらかい座布団の上にギルドマスターを置くと、同僚がこれまたサッと毛布をかぶせた。
 受付嬢が立ち去った後、ギルドマスターは少しだけ瞼を開けた。
「一度この世に生を享け、滅せぬもののあるべきか…
 座して心中選ばんは、口惜しかりき次第かな…」
 最後の一節はモリ盛のものではなかった。ギルドマスターは迷いと諦めに彩られた眼を閉じた。

狩猟 | 12:37:53 | Trackback(0) | Comments(2)
コメント
キター!!!
2018-02-17 土 09:25:02 | URL | ましあ [編集]
キテター!
とりあえず前回読みに行ってくるwww
2018-02-17 土 14:22:21 | URL | まりそ [編集]
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